函館の弁護士による離婚の方法や手続きについての解説
 

離婚調停が何らかの理由によって成立しない場合に、まれに調停に代わる審判によって離婚が成立する場合があります（審判離婚）。

以下では審判離婚とはどのような離婚方法なのか、どのようなケースで審判離婚がされるのかといった点について解説します。

離婚調停を継続してきたけれども調停が合意によって成立しなかったとき、通常であれば調停は不成立となっって終了します。

その場合には離婚を希望する当事者は離婚訴訟を改めて提起することになります。

しかし、離婚調停の合意の見込みがない場合であっても、家庭裁判所は当事の衡平及び一切の事情を考慮して相当と認めるときには、合理的かつ具体的な解決案を審判という形で示すことが出来ます（家事事件手続法２８４条）。

この調停に代わる審判は家庭裁判所が職権で行うこととされており、当事者に申立権はありませんので、当事者がいきなり審判離婚を申立することはできず、あくまで離婚調停の過程でされる可能性があることに特徴があります。

調停で合意が出来ず不成立になりそうになったら、いきなり裁判官から審判離婚をされてしまうというわけではなく、上記の要件からも審判離婚が認められるケースは限られていますし、実際にされている件数も相当少ないと言われています。

夫婦のどちらか一方が離婚自体に反対しているなど対立が大きい場合には、次で述べる異議が出される可能性が高いことから、実際に審判離婚がされるケースは、夫婦が離婚に合意しており、その他の条件についてもほとんど合意しているが細かい点についてのみ合意が出来ない場合があります。

例えば、離婚や親権者などについて合意が出来ているけれども、お互いの養育費の金額の希望がわずかに違う場合などです。

また、離婚調停については調停成立の際に両当事者が出頭する必要がありますが、どちらか一方が家庭裁判所から離れた遠方に居住していて出頭が困難な場合に利用される場合があります。

当事者には審判離婚の申立権はありませんが、このような出廷困難なケースについては、出廷困難な事情を伝えた上で審判離婚の希望を伝えて裁判官に審判をしてもらう流れになるでしょう。

裁判官によって審判がされると、審判の内容が記載された審判書が裁判所から当事者双方に送達されます。

その送達から２週間以内に当事者のどちらからも異議申立がなければ審判は確定します。

審判書の謄本と確定証明書を家庭裁判所から申請してもらい、離婚届に記入をすれば審判が確定した日に離婚が成立したこととなります。

２週間以内にどちらからか異議申立てがされた場合には、その理由が何であれ審判は覆ってしまいます。

離婚訴訟の場合は、控訴をしても控訴審の結果が出るまではある程度の時間を要するのに対して、審判については異議申立てがされれば直ちに効力を失うことになるのは大きな違いと言えます。

いずれにしても、あまり活用されるケース自体は多くはないことと、意に反して審判離婚がされた場合でも異議申立てが可能であることを覚えておくと安心でしょう。